昔の教科書ではCvというのがフェルミ結合定数になり、真木先生の本だと10e-5/Mp**2と書いてある。理論の教科書には必ずミューオンの寿命が書いてある。歴史的には中性子や14Oの寿命の測定の話が弱い相互作用の理論の記述には必ず出てくる。具体的な計算のプログラムをかなり前に書いたので、リンクを載せておく。計算の時のエネルギーの次元はMeV。
https://www.takashimake.com/typesetter/public_html_old/busshitsu2/kougi.html
かまろぐというページに簡単な例があった。これをいじって、計算する例ができた。ダウンロードして、ブラウザで開くと動作します。簡単に読めるので無害とわかる。以下をクリックしても動作。
実際の結合エネルギーは原子核の質量と関係しており、それはダルトンユニットというもので核図表の英語版のリンクをたどると調べることができる。質量から結合エネルギーを計算する例として、特に核分裂やベータ崩壊でプルトニウムの生成に関係する部分を計算するエクセルファイルをアップしておく。ベータ崩壊では親核の結合エネルギーより娘核の結合エネルギーに0.8MeV足した数が大きいと崩壊が起こる。プルトニウムがギリギリ生成することがわかる。
放射能はウランがなければ発見されなかった。92番元素のウランはベクレルによって放射能が発見され、1932年の中性子の発見につながってゆく。そのわずか4年後には原子核の質量公式の論文が出ているらしい。原子核の授業ではこの式が出てくるが、核分裂で重要なのは、中性子数が奇数の核が核分裂を起こしやすいということ。実際には235Uと239Puしかない。あまり書かれていないが対エネルギーEdeltaが一番効く。簡単に調べることができるプログラムを書いてみた。
MSVCやG++でコンパイルして以下をタイプし、結合エネルギーEbを眺めると理屈がわかる。
weizsacker 235 92 weizcacker 236 92
236Uが強く結合するので、変形して分裂する。液滴モデルと呼ばれる。変形に必要なエネルギーは6MeV程度と思われる。映画の「オッペンハイマー」の日本公開が待ち遠しい。
トリウムは中性子が偶数で熱中性子では無理。そこで高速中性子を打ち込んで無理やり核分裂させるやり方がある。陽子数83のビスマスも中性子が奇数なので一見有望だが、電荷が微妙に小さいので変形した後に分裂を加速する力が働かないようだ。ビスマスの後、どうやって92個まで宇宙で元素合成が進んだのか不思議すぎる。つまりウランは神元素。
原子核の質量は魔法数で微妙に小さくなるが、これは外側を回る原子核に軌道角運動量とスピン角運動量が同じ向きにそろう性質があるため。